カテゴリー別アーカイブ: チタン辞典

アナターゼ

鋭錐石ともいう。二酸化チタン(TiO2)の結晶型の一つ。高温でルチルに転移する。この結晶型の鉱石のこともアナターゼとよび、また天然アナターゼともいう。ブラジル・ミナスジェイラス州のアラシヤ地区で1971年にアナターゼ型のTiO2大鉱床が発見された。埋蔵量は5千万トン以上といわれる。ニオブ鉱石・希土類鉱物と共存しているため、不純物の関係で今のところチタン資源としては利用されていない。
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SPF/DB

超塑性成形/拡散接合ともいう。二層の金属組織をもち超塑性をおこす金属材料の板を高温で超塑性を利用して成形し、同時にその温度で拡散接合する。変形速度が小さいので超塑性変形には長時間かかり、その間に拡散接合を行いことが出来る。チタンでは成形の難しいチタン合金の板に多く適用されている。使用例として、Ti-6Al-4V合金の板からアルゴンガス圧力を利用して、航空機用各種パネルがSPF/DBにより製作されている。

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アサーマルω相

[athermal ω phase]

非熱的ω相・焼入れω相ともいう。チタン合金のβ相において、焼入れ過程で生成するω相。β相安定度の比較的低い組成で、無拡散変態で生じるから、急冷によりその生成を阻止することはできない。

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MMC

[metal matrix composite] 金属材料を基質とする複合材料。基質と強化材の種類で分類される。

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冷却速度

熱処理温度から冷却する速度、処理の目的に応じて、徐冷・空冷・急冷が適用される。おおむね、徐冷と空冷は焼きなまし、急冷は溶体化処理に対応する。

冷却速度は、時効処理ではほとんど問題にならないが、処理温度が高いものほど問題になり、特に拡散変態の生成を阻止することが必要な溶体化処理ではもっとも重要な因子である。

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チタン粉末

直径が約300μm以下のチタン粒。チタン粉末には、スポンジチタンを破砕してつくるスポンジチタン粉末。チタンを水素化して破砕し脱水素するHDH粉末、滴下する溶湯に高速アルゴンガスを吹付けてつくるガスアトマイズ粉末。高速回転するチタン電極を溶解してつくる回転電極法粉末などがある。チタン粉末製品の特徴は、歩留りの向上と工程短縮によるコスト低減。切削費の低減、溶解法では不可能な高性能チタン合金の製造などがある。

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アップグレーディング

一般に「改良・格上げする」あるいは「等級を上げる」の意。チタン製造ではイルメナイト中の鉄を除去し、酸化チタン(TiO2)純度を上げるプロセスをいう。

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溶射

金属やセラミックス粒子を高温に加熱溶融し、素材表面に高速で衝突させ被覆する方法。熱源として、フレーム・爆発・アーク・プラズマがある。大気中で処理可能だが、気孔などの欠陥が多く密着性が不十分である。チタン合金の表面に12%コバルトを含むタングステン炭化物をプラズマ溶射するとしゅう動疲労が改善する報告がある。

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エリクセン値

板材の張出し性を評価するエリクセン試験によって求められた値。
エリクセン試験は、試験片をダイスとしわ押さえで拘束し、穴径27mmのダイス穴内に球径20mmのポンチで張出す試験である。JIS Z2247に、エリクセン値は「エリクセン試験において、試験片の少なくとも1ヶ所に、裏面に達する割れができるまでに、パンチ先端がしわ押え面から移動した距離をミリメートルであらわす」と定められている。
チタンのエリクセン値は、もっとも成形性のよいJISの1種でもステンレス鋼(SUS304)よりも低く、張出し性はよくないが、結晶粒を大きくすることによりある程度改善できる。

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焼鈍

焼なまし。焼なましの旧用語。

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酸化皮膜

酸素と結合して酸化物が表面に生成した膜。チタンの酸化皮膜は、常温大気中において表面に数nmの厚みで非常に強固に生成し、これがすぐれた耐食性などを生み出す。掻きキズなどで酸化皮膜を除去しても、自動的に瞬時に酸化膜が生成するのでチタンの表面特性は損なわれない。酸化皮膜の厚さは、加熱や陽極酸化により厚くできる。酸化皮膜の厚みにより、表面の色が決まる。

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工業用純チタン

略称CPチタン。純チタンとも言う。純金属が工業材料として広範に用いられているのはチタンのみで、この状況を強調して名付けられた名称。スポンジチタンの製造工程では、酸素・窒素・炭素・水素などが残留し、また反応容器から鉄などが混入し、スポンジチタンにはかなりの不純物元素がふくまれている。

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非鉄金属精錬

[non-ferrous  metals  refining]

銅・亜鉛・ニッケル・コバルトなどの非鉄金属は鉱石を硫酸などで溶解し、その溶液中で電気分解することにより、液中に溶存している目的とする金属を陰極に析出させ高純度金属を得ている。これを電解採取という。銅を除く他の非鉄金属の電解採取では、陽極に貴金属を被覆した純チタン(工業用純チタン)が用いられている。また、二酸化マンガン(MnO2)の電解製法の場合にも陽極材として純チタン板が使われている。硫酸マンガン電解液中で電気分解し、純チタン製陽極板上にMnO2を析出させてつくられている。

高純度の銅は不純物の多い粗銅を2回の電気分解によりつくられている。1回目の電解は銅鉱石を処理した粗銅を陽極にして硫酸酸性溶液中に溶かし、溶出した銅イオンを陰極(母板という)に析出させ、それを母板から剥離して純度のよい銅薄板(種板という)をつくる。2回目の電解では陽極は粗銅であるが、種板を陰極にしてその上に高純度銅を析出させて電解銅を得ている。1回目の電解での母板に純チタン板が検討された。電子工業などで用いられる高純度銅箔は純チタン製ドラムを陰極にして、その表面に銅を析出させてつくられている。チタン表面に析出した銅を剥離しやすいからでもある。

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ピッチ

[pitch]

石炭・石油・木材などの有機物質の乾留によって得られるタールを蒸留したときの釜残渣。石炭からのピッチはコールタールピッチ、石油からのものは石油ピッチといい、石油ピッチは加工されてアスファルトになる。通常単にピッチというときはコールタールピッチをさすことが多い。粘結剤のほか鉄材・木材などの防水・防錆・防腐などのための塗料として用いられる。

チタン製造に関しては、かつて団鉱塩化法で四塩化チタンを製造していたときに団鉱製造の粘結剤として用いられた。

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ビーチャー法

[Becher process]

イルメナイトから合成ルチルを製造する方法の一つ。R.G.Becher らによって開発され、オーストラリアのWestern Titanium 社などで工業化された。

イルメナイトをロータリキルンで加熱し、炭素によってイルメナイト中の酸化鉄を金属鉄の状態にまで還元し、これを塩化アンモニウム(NH4Cl)水溶液中で攪拌しながら空気を吹きこんで鉄を酸化させて微細な酸化鉄として分離除去する。酸化鉄が除去された生成物は約2%程度の薄い硫酸溶液で残留する鉄とマンガンを溶出させ、ろ過・洗浄・乾燥して製品とする。酸化チタン(TiO2)92%程度の黒色合成ルチルが得られる。

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全面腐食

均一腐食ともいう。金属の表面全体にわたってほぼ一様に腐食される腐食形態。耐食性の低い金属や強い腐食環境下でおこりやすい。
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熱延板

熱間圧延して製造した板製品。広義にはホットストリップも含む。純チタンの熱延板は、鋳塊からまずスラブを作り、その後、厚板圧延また連続熱間圧延によりつくる。生産性を上げ、コスト削減のため製鉄所の鉄鋼用設備が使用されている。チタン合金の場合は、β合金を除き、すべて熱間で圧延する。薄くなると、重ねてそれを鋼板で全周をつつみ熱間圧延をする。

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遷移相

平衡状態図には記載されていない非平衡相。時効にともなう析出過程においては、直接平衡相が析出するよりは、合金元素濃度が低く構造は類似した相として析出するほうが、エネルギー的に有利になる場合がある。そのため、最初準安定相として析出した後、安定相に遷移する経路をとる事がある。この準安定相を遷移相という。チタン合金では、w相・β’相などがある。
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電気抵抗

物質に電圧Vを加えたとき電流Iが流れ、電圧Vと電圧Iとの関係が式V=IRで示されるオームの法則がなりたつ。この式のRを電気抵抗と呼ぶ。単位はΩである。なお、金属の電気抵抗は、電荷を運ぶ電子が物質中に移動する過程で、結晶格子の熱振動や不純物の存在などによって散乱する結果生じる。したがって、合金の電気抵抗の方が純金属よりも一般に大きい。

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完全焼きなまし

β焼きなましとも言う。残留応力と組成組織の不均一を完全に除く為に高温で処理される焼きなまし処理。チタンではβトランザス以上の温度に加熱して、除冷する処理である。同時に等軸α組織から針状α組織に変化する。破壊靱性や疲労亀裂の伝播特性の改善が特に重要である場合に適用される。

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