カテゴリー別アーカイブ: あ行

温間成形

[warm forming]

板を常温より高い温度に加熱して行う成形加工。一般に、金属は常温より温間の方が伸びが大きく成形性が向上するので、常温での成形がむずかしい場合に温間成形加工を行う。温間より高い温度の場合を熱間成形という。温間と熱間の境界温度は金属により異なり、チタンの場合は通常約600度以下を温間という。

純チタン板の温間成形を行う場合、約200℃まで伸びは向上し成形性は大きく改善するが、約200℃から約500℃の温度間では成形性が低下することがあるので注意を要する。この現象が特に比較的純度の高い1種と2種(JISまたはASTM)に見られるのは、変形に制限を受けるからである。チタン合金板の場合は、通常、温間よりさらに高温で成形される。温度が高いほど成形性は向上し、純チタンのような挙動は示さない。

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n値

[n value]

加工硬化指数ともいう。JISでは、「真応力σと対数伸びεとの関係をσA=Cεnで近似させたときのnの値。薄鋼板では、通常、ε=5~15%、ε=10~20%などの全伸びの範囲について近似したときのnの値を、プレス成形性に関連する特性値として用いる」と定めている。

板材の成形時における加工硬化の程度を表す目安になる数値であり、n値が大きいほど局部的なくびれの発生が抑制され張出し成形が容易になる。

純チタンはステンレス鋼や普通鋼と比較してn値は小さいため、変形が局部に集中しやすく、成形限界も低く、張出し成形の際には注意を要する。

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応力腐食割れ

SCCとも言う。腐食環境に置かれた金属材料に引張応力が負荷され続けると、応力腐食に起因する割れが発生し、それが時間の経過と共に拡大して、最終的には破断に至る現象。応力腐食割れは純金属よりも合金で生じやすい。また、材料本来の破断応力よりもずっと小さな応力でも破壊に至ることがある。負荷応力が大きい場合は、比較的弱い腐食環境でも破壊に至る。チタンはステンレス鋼に比べ応力腐食割れ感受性は小さい。

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一段還元法

[single stage reduction]

四塩化チタン(TiCl4)をナトリウム(Na)で還元して金属チタンを製造する方法(→ナトリウム還元法)の一つ。二段還元法がTiCl4をNa還元によって一旦ニ塩化チタン(TiCl2)にして、さらにNaで還元してチタンを得るのに対し、1回の反応TiCl4+4Na=Ti+4NaClでチタンをつくるプロセスである。

 

 

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AP

焼きなましと酸洗のこと。チタンでは、大気中で焼きなましした場合は必ず脱スケールのため、ショットブラストまたはソルトバス処理をしたあと酸洗処理を行うので、このように並べていう。

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アルカリイオン整水器

[alkaline ion making equipment]

大気汚染、環境ホルモンと健康をおびやかす要因は増える一方である。このような生活環境のなかで健康に関する関心は強く、数多くの健康食品などがあふれている。そのうちの一つにアルカリイオン水がある。これは水道水を電気分解すると水酸化物イオンが陽極側に移動してアルカリイオン水が生成する。陰極側には水素イオンが集まり酸性水ができる。アルカリイオン水は胃酸過多・下痢などの防止に、酸性水はその殺菌作用から食器洗浄などに利用できる。この電気分解に使う電極(陽極と陰極があるが、水道水中のカルシウムイオンが電極に付着するので、陽極・陰極を交互に入れかえて使っている)にチタン表面に白金を焼成したものを使う。従来のフェライトやカーボン電極が短寿命であったのを大幅に改善した。白金焼成チタン電極の寿命は10年以上といわれている。

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HDH粉末

HDHは水素化脱水素粉末ともいう。クローク法スポンジチタンまたはチタン材料を水素化して粉砕し、脱水素して製造したチタン粉末。スポンジチタンは多孔質であるが粘りがあるので、そのまま粉砕して粉末にするのは困難で、水素化すれば脆くなるのでそれを利用して粉末を作る。水素化チタンTiH2の組成まで吸収させればもつろんであるが、その組成まで吸収させなくても安易に粉砕が可能である。脱水素は、500℃以上の温度で行い、温度が高くなると水素の放出ははやいが、粉末の焼結がおこるので注意する必要がある。

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アモルファス構造

[amorphous  structure]

非晶質構造ともいう。固体状態で、原子が規則性のないバラバラな配列をしている構造。結晶構造に対していう。一般に、溶融状態から急冷してつくられる。非平衡相なので、高温に保持すると平衡相である結晶構造になる。

 

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アルミニウム当量

α相安定化元素の機能を示す指標。チタンにアルミニウムを添加し、ある限度を超えるとTi3Alが生成する。この挙動は、アルミニウムだけではなく、他のα相安定化元素でも同様な機能を有する。

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異方性

異方性とは物質の物理的性質が方向によって異なることであるが、チタン板圧延材で圧延方向とその直角方向で機械的性質に差が認められる。これはチタンの結晶組織が最密六方晶でその長軸(C軸)方向が当初ランダムであったのが圧延加工が進むにつれて減肉に対して抵抗するような向き(板厚方向に結晶のC軸が立ってくる向き)に結晶組織が並んでくることに起因する。実用上、この異方性が問題になることもあるので、厳しい張出し成形のような場合には配慮が必要になる。

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遅れ破壊

高張力鋼などが静的な引張荷重を加えられたままの状態で長時間を経過した後、突然破壊する現象。原因は、腐食環境または周辺雰囲気中に存在する水素ガスが徐々に鋼中に拡散浸透して微小な割れをつくったり、材料内部に存在した欠陥部に集まり、その量があるレベルに到達すると、水素脆性をひきおこすことによる。したがって、破壊までの時間は、応力が小さいほど、また温度が低く、拡散浸透する水素の量が少ないほど長くなる。純チタンやチタン合金では通常の環境下では発生しないが、水素を吸収するような環境下では水素脆化をおこすので、遅れ破壊には十分な注意が必要である。
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応力除去焼なまし

低温焼なまし・ひずみ除去焼なましともいう。強度や延性に影響を及ぼさず、残留応力のみを除去するために、比較的低温で行われる焼なましであり、純チタンは約400~600℃である。

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アモルファス合金

[amorphous alloy]

常温の固体状態でも結晶構造をもたず、アモルファス構造をした合金。製造方法には、ロール法(箔)・ガスアトマイズ法(粉末)・液中紡糸法(細線)などがある。通常の結晶質合金とはいちじるしく異なった性質を示し、高強度材料・耐食材料・高透磁率材料などとして実用化されている。

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イオン伝導

イオンの拡散による電気伝導、イオン伝導はイオンの拡散速度が律速するので、温度が高いほど伝導度は大きくなる。セラミックスのなかには、安定化ジルコニアなどのイオン伝導をする物質や混合導電体のTiS₂などがある。

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アナターゼ

鋭錐石ともいう。二酸化チタン(TiO2)の結晶型の一つ。高温でルチルに転移する。この結晶型の鉱石のこともアナターゼとよび、また天然アナターゼともいう。ブラジル・ミナスジェイラス州のアラシヤ地区で1971年にアナターゼ型のTiO2大鉱床が発見された。埋蔵量は5千万トン以上といわれる。ニオブ鉱石・希土類鉱物と共存しているため、不純物の関係で今のところチタン資源としては利用されていない。
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SPF/DB

超塑性成形/拡散接合ともいう。二層の金属組織をもち超塑性をおこす金属材料の板を高温で超塑性を利用して成形し、同時にその温度で拡散接合する。変形速度が小さいので超塑性変形には長時間かかり、その間に拡散接合を行いことが出来る。チタンでは成形の難しいチタン合金の板に多く適用されている。使用例として、Ti-6Al-4V合金の板からアルゴンガス圧力を利用して、航空機用各種パネルがSPF/DBにより製作されている。

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アサーマルω相

[athermal ω phase]

非熱的ω相・焼入れω相ともいう。チタン合金のβ相において、焼入れ過程で生成するω相。β相安定度の比較的低い組成で、無拡散変態で生じるから、急冷によりその生成を阻止することはできない。

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MMC

[metal matrix composite] 金属材料を基質とする複合材料。基質と強化材の種類で分類される。

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アップグレーディング

一般に「改良・格上げする」あるいは「等級を上げる」の意。チタン製造ではイルメナイト中の鉄を除去し、酸化チタン(TiO2)純度を上げるプロセスをいう。

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エリクセン値

板材の張出し性を評価するエリクセン試験によって求められた値。
エリクセン試験は、試験片をダイスとしわ押さえで拘束し、穴径27mmのダイス穴内に球径20mmのポンチで張出す試験である。JIS Z2247に、エリクセン値は「エリクセン試験において、試験片の少なくとも1ヶ所に、裏面に達する割れができるまでに、パンチ先端がしわ押え面から移動した距離をミリメートルであらわす」と定められている。
チタンのエリクセン値は、もっとも成形性のよいJISの1種でもステンレス鋼(SUS304)よりも低く、張出し性はよくないが、結晶粒を大きくすることによりある程度改善できる。

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